チャレンジ制度。

サッカーネタを続けて。
なんか、FIFAの会長が「ビデオ判定によるチャレンジ制度の導入」を検討している、って記事を読みました。MLBが導入したのも影響してるらしいんだけど。
まぁ、2014年のW杯ブラジル大会は、ゴールラインテクノロジーとバニシングスプレーっていう審判にとっての大きな変化もあった大会だけど、このチャレンジ制度の導入は果たしていかがなものか、って感じがします。
ビデオ判定の煩雑さが試合の流れを止める、とか、判定の不確実さも含めてサッカーなんだ、とか、そういう部分は僕にとってはどうでもよくて、単純に「そのルールによって試合が面白くなる」のであれば賛成なんだけど、どうもそうはならない気がするんです。
チャレンジ制度、MLBよりも先駆けて導入しているのがNFLなんだけど、そこでのチャレンジ制度は試合の面白さや結果に結構直で結びつくことが多いんです。
NFLのチャレンジ制度は、判定に疑問を持つプレーがあった時にヘッドコーチが申告をしてビデオ判定がなされます。申告の合図として赤い旗をフィールドに投げ込むので「レッドフラッグ」って呼ばれてるんですが。
で、ビデオ判定の結果、申告した側が主張する判定になった場合、すなわち判定が覆った場合は、新しい判定を採用して試合続行、もしビデオ判定しても判定が最初のまま変わらない場合はレッドフラッグを投げ込んだ側のチームのタイムアウトが一つ減る、というルール。
この「タイムアウトが一つ減る」という、チャレンジする側の“リスク”が、試合内容や結果に影響するわけですよ。
というのも、アメフトは試合が進んで終盤になればなるほど、「タイムコントロール」の側面が強くなるんです。1クォーター15分、1試合4クォーターで行うんだけど、攻守がはっきり分かれていて、攻撃の回数や時間に制限があるのがアメフトなので(1回の攻撃ターンで10ヤード進まないと攻守交代)、「相手の攻撃時間をいかに奪うか」も勝負の一つのポイントになるというわけです。
例えば、僅差で負けてるチームとしては、なるべくたくさんの回数攻撃をしたい(=なるべくたくさんパスをキャッチしたり、ランで進んでいきたい)、でも攻撃するには時間が必要。そこで何をするかというと、「時計を止める」んですよ。
時計、すなわち残り時間か少なくなるのを止められるんですね。時計が止まるのは、パスが失敗した時/ボール保持者がフィールド外に出た時、なんだけど、あと一つ、タイムアウトの時も時計が止まります。(前後半それぞれ残り時間が2分になったらそこでもまた時計が止まるんだけど、まぁいいや)
時計を止めることで、攻撃の回数増にも繋がるし(例えばフォーメーションを組んでパスを投げるまでに10秒かかって、パスを投げてからキャッチするで5秒かかるとする。時計が止まっていれば最初の10秒は気にしなくていいけど、時計が進んでいればその10秒の間に2回攻撃のチャンスを逃すということです)、タイムアウトはその間に戦術・戦略を考えることも出来るので、試合終盤になればなるほど、「タイムアウトの数」が結構キーポイントになるというわけです。ちなみにタイムアウトは、前半で3回、後半に入ったらリセットされてまた3回、です。
ここまで書いて、アメフトのルールややこしいわぁ、と改めて思いましたが(笑)、要は何が言いたいかというと、NFLのチャレンジ制度はタイムアウトという試合に大きく影響する権利を賭けて行われるので、まさに“チャレンジ”として機能してるということです。リスクがあるんですよ、チャレンジには。だから、その結果にプレーヤーもコーチ陣も観客もみんが一喜一憂する。より盛り上がるわけです。「あそこで無謀なチャレンジしたからタイムアウトがもうねーじゃねーよ!」とかね。
そうやってリスクがはっきり設定されていないチャレンジ制度は、さほど試合の面白さに影響しないと思うんですよね。勝負には影響するかもしれないけど。だからMLBのチャレンジ制度も、あんまりパッとしない印象なんだけど、どうなんだろ?
ましてや前述した通り、サッカーは流れのあるスポーツですから、試合の面白さに寄与しない制度は果たして必要なのかなぁ、と思っております。
はー、なんか書き始めたはいいけど、アメフトのルールをどこまで書けばいいか考えながら書いてたら疲れちゃったよ。ルールややこしいからさぁ。
ただ、ややこしくシステマティックであるからこそ、試合を面白くしようという工夫が見られて、尚アメフト・NFLが好きになる、というのもあるんですけどね。