『ゴーグル』回顧録(3)ロケーション

はい、『ゴーグル』回顧録。第3回はプリプロその2、ロケーションについて書いていきます。

その前に、『ゴーグル』アンコール上映、今週末からです。
詳細は下記のリンクを。ぜひご来場下さいませ。

http://d.hatena.ne.jp/p_yama_film/20110713#1310873206



さて、前回チラッと書いた通り、『ゴーグル』は劇中の多くのシーンを櫻井くんの故郷、茨城県日立市で撮影しました。

なんで日立で撮影する事になったのか、の経緯は、………覚えてないんですよねー、これが。どうしてだっけなー。割と早い段階から「日立でやる」ってのは決まってたんだけども、なんで日立にしたかは覚えてません。

うーん………、今思い出そうとしたんですが、無理でした。残念。

まぁとにかく日立でやる事が決まったので、諸々の準備を始めたわけです。
と言っても僕は東京にいるもんで、頻繁に日立に通う事も出来ないので、当時地元で暮らしていた櫻井くんにも色んな準備をお願いしちゃいました。


主な準備は…


・撮影場所の許可取り
櫻井くんと二人で行ったり、僕一人で行ったり。
前回書いた河原子小学校さんはロケ地としてもご協力頂きました。他にも、伊師浜海岸や久慈川の川辺など自治体が管理している場所での撮影もあったので、書類を持って申請をしに行ったり、お願いをしに行ったり。
なかなか骨は折れますが、重要な作業です。


・スタッフ・キャストの宿泊場所確保
実はこれが、低予算映画の場合結構厄介だったりします。普通にホテルに泊まったりすると、えらい予算が増えてしまいますからね。
なので、そこは櫻井くんに地元の力をフルに発揮してもらい、「取り壊しが決まってて住人はいないけど、生活出来る一軒家」を借りる事に成功しました。そう、ここでロケの間合宿生活をしたわけです。
キャスト(東京から来てもらってる子役のみんな)にはキャスト用の部屋を用意し、スタッフは他の部屋で雑魚寝。ロケ中のご飯も、櫻井くんのご両親や櫻井くんの奥さん、奥さんのご両親など、様々な方にご協力頂いて、この一軒家で自炊して食べる、という事をやりました。

あ、今思い出したんですが、ロケ中に一回、警察の方に声をかけられましたなー。一軒家近くの駐車場で夜中3時ぐらいに機材の整理や掃除をしていたら、「何やってるの」って感じで。そりゃそうですね、見るからに怪しいですから。こちらの事情をお話したら「あんまりうるさくしないでね」と仰って帰って行かれました。


・小学校シーンの準備
ここには前回書いたエキストラの皆さんへの連絡なども含まれるのですが、これも河原子小学校の先生方にご協力頂き、スムーズに進める事が出来ました。いやー、こうやって改めて書くと、色んな人に色んな所でお世話になりっぱなしです。足を向けて寝られません。

あと小学校のシーンでは、「消え物」がありました。給食です。
主人公のハルキが、家で満足に食事をさせてもらえない(晩飯がコンビニ弁当だったり、その弁当も時には食べさせてもらえなかったり)為、給食はガツガツ食う、というシーンがあったので、給食一食分を用意する必要があったんです。
で、これの準備は…、またも櫻井くん、地元の力をフルに発揮。櫻井くんのご両親を始め、多くの方にご協力頂き、約30名分の給食を用意する事が出来ました。さすが櫻井くん!

ちなみにメニューはカレー。残ったものはスタッフも頂きましたが、おいしかったです。


と、ここまで書いてきて、「多くの方にご協力頂いて」ばっかりで、お前何もしてねーじゃねーか、って声が聞こえてきそうですが(櫻井くんも監督業以外で働いているというのに)、いやいや、お待ち下さい。私も私で、色々動いていたんですよ。


というのも、日立ロケだけではなく、東京で撮影するシーンもあったので、それの準備をしていたわけです。

撮影場所として主に探していたのは、平屋/公園2ヶ所など。
で、この「平屋」ってのが難航しました。


皆さん、周りを見てみて下さい。東京って、平屋の数自体がそれほど多くないんですよね(まぁ、地域によりますが)。しかも監督の希望は「そこそこ広くて/そこそこ古くて/モノがあまりない」所。これにプラス、撮影可能、という条件も付いてるので、なかなか苦労しました。

結局、某所にあるハウススタジオ(撮影用に貸し出している家)を借りる事になったんですが、これ、もちろんレンタル料が発生するわけですよ。相場としては、だいたい1日10万ぐらいとか。プロデューサー初心者だった私は、ここでお金を使う事に大変躊躇した記憶があります。もし他の場所を見つけられれば、このお金は使わなくても済むかもしれない、という思いがあったんです。

でも、それによって準備が遅れてしまう、という事もありまして(使う場所が決まらないと、技術・美術のプランが立てにくいですから)、自分としては苦い教訓として残っています。
全体の予算の中で、どういうバランスでお金を使うのか、もしくは使わないのか。その判断をいつまでに行うのがいいのか。未だにグラっとしてしまうところはありますが(お金ってシビアですから)、『ゴーグル』の時の経験が今も大いに役立ってます。

ま、そこら辺は、このあとにもっとシビアな事が待ち構えているんですがね…。


という事で、今回はこの辺で。
次回は、技術的な事を書きたいと思います。機材とか技術スタッフの事とか。多分。





-