FISHMANS - LONG SEASON

LONG SEASON

LONG SEASON

仕事場であるトリウッドで、『ドロステのはてで僕ら』でご一緒してるヨーロッパ企画さんの生配信劇シリーズ『京都妖気保安協会』のケース4のライブビューイングを行いまして、上映中のチェックも含めてほぼ全編を拝見したんですが(映写室のPCから出力してたので、そのPCを観つつ、音は場内にしか出していないので漏れ聞こえてくるものに耳をそばだてる、という感じでしたが)、いやー、良かったですねぇ。面白かったし、早替えとか他の仕掛けも楽しめたし、何より今のこの状況で、”劇場”で彼らが”芝居”をしている様を観る(見せる)というのが、すごくグッときました。入れ子構造になっている彼らお得意の劇ではありますが、劇から更に広がる形で観ている我々もそこに含まれていく、というのが、配信(生であり、生じゃない)だからこそ味わえる感覚で何とも言えない感慨があり。最初に(平行世界の)ヨーロッパ企画が出てきた時に、「あ、これはアツい」と、その時点でしっかり心が動いておりました。まだ視聴チケットは買えて、アーカイブもまだ観られるようなので、気になる方はぜひ。ライブビューイング自体も大きな問題は起きずに終わり、ほっとしました。

ということで今日はこれを。せっかくなので、書き溜めてるものじゃなく今の気分に合わせて選びました。名曲です。名曲、なのか、名アルバムなのか、というのがはっきりしないかもしれませんが、同じ年にシングルとしては発表された”SEASON”のロングバージョンで、1曲35分というかなりの長尺曲が信号的には5トラックとして収録されたスタジオ・アルバム、ということになってます。フィッシュマンズ、ぶっちゃけ言うと、東京に出てきてから聴くようになったので、その頃にはもう佐藤伸治が亡くなっていて(直後、ではあるけど。確か、池袋のHMVでその情報を知ったような気がする。フロアの感じがなんか頭に残ってます。今思うと、あの頃のCDショップってのは、自分にとっては色んな意味でワンダーな場所だったんだなぁと感じますね)、喪失というか”あとを追う”所からスタートしたバンドなんですが、なんか良いらしいぞ、という所から聴き始めてすっかりハマってしまいました。で、これまた正直な所、この”LONG SEASON”を”SEASON”よりも先に聴いてまして、長尺である、という以上にその音の心地よさだったり、不穏さだったり、孤独だったりにやられていたので、”SEASON”を聴いた時は、ほう、なるほど、ぐらいの感度になっちゃってた、というのを覚えています。35分あるけど、聴いちゃうんですよ。こちらの精神状態によって聴く時を選ぶ、というのはあるかもしれませんが、今久しぶりに聴き返すと、”あちら”と”こちら”を行き来するようなこの曲を、この尺でしっかりと構築してみせた、というのは(逆に言うと、この尺じゃないと構築出来なかった、のかもしれませんが)、このバンドが目指していた場所の高さを改めて感じたりします。そういう意味では、『京都妖気保安協会』ケース4を観た日にこれを取り上げる、というのも、何か繋がりがあるのかもしれません。むりやりー。