全力で、出し惜しみしない。

映画『天気の子』スペシャル予報

 

前作『君の名は。』公開前に、これまでの新海監督の作品を振り返る特別映像(+『君の名は。』の特報)がYouTubeにアップされて、この映像はトリウッドの新海監督特集でも予告として使わせてもらったりしたんですが(2016年の『君の名は。』公開前の一挙上映でも確か上映したと思う。その後、2017年、今年と新海監督特集の時には使わせてもらいました)、そりゃね、東宝さんの配給でメジャーに打って出るぞ、って時に、新海監督の作品世界をしっかりと見せて伝える、というのは大事だよね、と大いに納得したんですけども(それまではあくまで「好きな人が好き」な新海監督の世界だったわけですが、その範囲を大きく広げる為にはとにかく“見せて魅了する”必要があるわけですから)、今回『天気の子』の公開に合わせてアップされたこの「スペシャル予報」を見て、またもグッと来たわけです。しかも、前回よりも余計に。

それは、映像の構成の仕方(前回よりも各作品のセリフやカットを細切れで繋げている部分があったりして、これは、過去作品やそこで描いてきたテーマ、印象的な背景描写などを全体として認知してもらう。という目的もあった前回に対し、『君の名は。』のヒットによってある程度その認知が進んだという前提で、次は監督の作品に共通するもう少し細かなモチーフ、おそらくそれは新作でも垣間見られるもの、だと思いますが、それを伝えようという意図があるのかな、と思ったりしてます)も理由としてはあるし(『天気の子』の本編がこの“予報”の中ではこれまでよりも多く公開されている、ということも理由の一つ)、前作に引き続いて作品を彩るRADWIMPSの音楽も一因ではありますが、何よりも、作品制作同様に、「見せること(=宣伝)」に対しても常に全力で、出し惜しみをしない。ということにグッと来たというか。前回のあの社会現象とも言える大ヒットが当たり前ではない、ということを冷静に受け止めて、でもその期待には応えたい、という熱い想いみたいなものもしっかり持ちながら、新作を楽しみにしている皆さんに対して真摯に、ごまかさずに向き合おうとしているスタッフの皆さんの姿勢みたいなものも感じて、もちろんこれまでの作品への愛着や新作への期待が高まる映像だ、というのはありますが、同時にそういった“心意気”が胸に響いたわけです。

これはもう、『天気の子』を劇場で観ないわけにはいかない。でも、おそらく中高生でいっぱいになるであろう劇場に、おじさん一人で行くのもどうかしら。いや待てよ、かつて『千と千尋の神隠し』を観に行った時も、家族連れやらカップルばかりの劇場でおっさん一人だったじゃないか。ていうか、どんな映画でもほとんど一人で観に行くんだから、何を今更言ってるんだ。と、無駄な会話を自分自身と続けながら、しっかりと劇場でその新作を見届けたいと思っています。

いやーしかし、この前の特集上映の時にこの映像を予告として上映したかったなぁ。出来上がってなかったんだろうけど、もし上映してたら、お客さんよりもまず我々が感涙だった気がする。